ひとり親家庭の親が職業訓練を受ける場合、都道府県等から「高等職業訓練促進給付金」が毎月支給されるとともに、修了後「高等職業訓練修了支援給付金」が支給されます。
1.高等職業訓練促進給付金、高等職業訓練修了支援給付金とは
ひとり親家庭自立支援給付金事業
高等職業訓練促進給付金、高等職業訓練修了支援給付金は、ひとり親家庭(母子家庭、父子家庭)自立支援給付金事業の一つです。給付金なので返済は不要です。
母子家庭の母や父子家庭の父が、看護師や介護福祉士等の資格取得のため、1年以上養成機関で修業する場合に、修業期間中の生活の負担軽減のために「高等職業訓練促進給付金」が毎月支給されるとともに、修了後「高等職業訓練修了支援給付金」が支給されます。
相談窓口はハローワークではない
自立支援教育訓練給付金(ひとり親家庭自立支援給付金事業)、ハローワークではなく、各都道府県や市町村において実施するものです。都道府県等によって、給付金事業の有無や、対象の条件が異なることがあります。制度を設けていない都道府県等に居住されている場合は、支給の対象となりません。
自立支援教育訓練給付金について詳しいことは、お住まいの自治体の福祉事務所(通常は市役所や区役所の中にある)に相談してください。
相談窓口
- 東京23区と市の場合は、区や市の福祉事務所
- 福祉事務所を設置している町村はその町村の福祉事務所
- 福祉事務所のない町村は県の福祉事務所
2.対象となる資格
高等職業訓練促進給付金、高等職業訓練修了支援給付金の対象となる資格は、就職の際に有利となるものであって、かつ養成機関において1年以上のカリキュラムの修業が予定されているものについて、都道府県等の長が地域の実情に応じて指定したものです。
(例)看護師、介護福祉士、保育士、歯科衛生士、理学療法士、保健師、助産師、シスコシステムズ認定資格、LPI認定資格等
2021年(令和3年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日までに修業を開始する場合には、1年以上ではなく、6か月以上のカリキュラムの修業が予定されているものとなります。ただし、雇用保険制度の一般教育訓練給付の指定講座を受講する場合には、情報関係の資格や講座に限ります。
3.受給の対象者
高等職業訓練促進給付金の支給を受けることができるのは、母子家庭の母または父子家庭の父であり、修業開始日以後において、次の要件をすべて満たす方に限られます。
高等職業訓練修了支援給付金の支給を受けることができるのは、母子家庭の母または父子家庭の父であり、修業開始日及び修了日において、次の要件をすべて満たす方に限られます。
高等職業訓練促進給付金、高等職業訓練修了支援給付金の受給対象者
- 現に児童(20歳未満)を扶養していること
- 児童扶養手当の支給を受けている、または児童扶養手当の支給を受けている者と同等の所得水準にあること
- 養成機関においてカリキュラムを修業し、対象資格の取得が見込まれること
- 仕事または育児と修業の両立が困難であること
なお、原則として、過去に高等職業訓練促進給付金(2012年度(平成24年度)までは母子家庭高等技能訓練促進費、2014年度(平成26年度)まではひとり親家庭高等技能訓練促進費)の支給を受けたことがある場合、高等職業訓練促進給付金は支給されません。
4.給付金の金額
高等職業訓練促進給付金
高等職業訓練促進給付金は、修業期間の全期間(上限4年)について毎月、次の金額が支給されます。
- 月額100,000円 (市町村民税非課税世帯)
- 月額 70,500円(市町村民税課税世帯)
ただし、養成機関における課程修了までの期間の最後の12か月については、次の金額となります。
- 月額140,000円(市町村民税非課税世帯)
- 月額110,500円(市町村民税課税世帯)
高等職業訓練修了支援給付金
高等職業訓練促進給付金は、修了後に次の金額が支給されます。
- 50,000円(市町村民税非課税世帯)
- 25,000円(市町村民税課税世帯)
5.申請手続きについて
事前相談
高等職業訓練促進給付金、高等職業訓練修了支援給付金を受けようとするときは、受講開始より前にあらかじめ福祉事務所で事前の受講相談をします。事前相談では、当該母子家庭の母または父子家庭の父の資格取得への意欲や能力、当該資格の取得見込み等をふまえて審査されます。
支給申請
高等職業訓練促進給付金の支給申請は、修業を開始した日以後に「高等職業訓練促進給付金等支給申請書」を提出しなければいけません。
高等職業訓練修了支援給付金の支給申請は、受講修了日から起算して30日以内に「高等職業訓練促進給付金等支給申請書」を提出しなければいけません。
添付書類
支給申請書には次の書類を添付します。
高等職業訓練促進給付金
- 母または父及びその児童の戸籍謄本または抄本及び世帯全員の住民票の写し
- 児童扶養手当証書の写しまたは16歳以上19歳未満の控除対象扶養親族に関する申立書・所得証明書
- 都道府県等の児童扶養手当支給担当者が児童扶養手当の受給を証明したときは不要
- 入校(入所)証明書等
- 支給申請時に修業している養成機関の長が証明する在籍を証明する書類
- 市町村民税非課税世帯の場合は納税証明書
高等職業訓練修了支援給付金
- 母または父及びその児童の戸籍謄本または抄本
- 修業開始日及び修了日における状況を証明できるものに限る。
- 母または父の属する世帯全員の住民票の写し
- 修了日における状況を証明できるものに限る。
- 児童扶養手当証書の写しまたは16歳以上19歳未満の控除対象扶養親族に関する申立書・所得証明書
- 都道府県等の児童扶養手当支給担当者が児童扶養手当の受給を証明したときは不要
- 市町村民税非課税世帯の場合は納税証明書
6.他の給付を受給している場合
生活支援目的の給付との併用はできない
求職者支援制度における職業訓練受講給付金、雇用保険法の訓練延長給付など、高等職業訓練促進給付金と趣旨を同じくする給付(生活支援の目的で毎月支給されるもの)を受けている場合は、高等職業訓練促進給付金の対象とはなりません。
教育訓練支援給付金と高等職業訓練促進給付金
教育訓練支援給付金と高等職業訓練促進給付金については、各給付金の支給額や支給期間等を確認したうえで、受給者本人がいずれか1つを選択することができます(併用することはできません)。
教育訓練支援給付金の支給を受けている場合(受ける予定の場合)は、高等職業訓練促進給付金の支給を受けることはできません。
教育訓練給付金との併用は可能
教育訓練支援給付金以外の教育訓練給付は、入学費や受講費の助成を目的としています。
そのため、教育訓練給付金(一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金)の支給を受ける場合、同時に高等職業訓練促進給付金の支給を受けることができます。
7.補足
法令の改正関連
2019年度(令和元年度)より、准看護師養成機関を修了する者が、引き続き、看護師の資格を取得するために、養成機関で修業する場合のように、資格取得のために4年以上の課程の履修が必要となる場合、支給期間の上限は通算で4年までとなります。
課税
母子及び父子並びに寡婦福祉法第31条の4の規定により、平成26年10月1日以降に受講を修了し、支給を受けた高等職業訓練促進給付金については、所得税、住民税等の税金はすべて非課税となります。
なお、高等職業訓練修了支援給付金については課税対象(雑所得)となりますので注意が必要です。