一般教育訓練給付金教育訓練給付金制度まとめ

【一般教育訓練給付金まとめ】一般教育訓練給付制度をわかりやすく解説します

一般教育訓練給付金とは、雇用保険の加入者や離職者が厚生労働大臣の指定する教育訓練(1年以内の一般教育訓練)を受講し、修了すると、ハローワークから教育訓練経費の20%(上限10万円)が支給される制度です。対象者は一定の雇用保険加入期間を満たす必要があります。

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1.一般教育訓練給付金のざっくりとした説明

まず、厚生労働大臣から「一般教育訓練」の指定を受けている講座を申し込み、最初に入学料と受講料を支払います(いったん全額支払う)。

その後、講座を修了してハローワークに申請すると、支払った費用の20%が「一般教育訓練給付金」として一括で支給されます。

2.対象者【誰が】

一般教育訓練給付金の対象者は、雇用保険に1年または3年以上加入した人です。

注:雇用保険に加入したことが無い人は対象とはなりません。ただし、他の給付制度を利用できる場合があります(詳しくは後述)。

在職者または1年以内の離職者

一般教育訓練の受講開始日に、雇用保険の被保険者である人(在職者)または被保険者であった人(離職者)に限られます。離職者だけでなく、現在在職している人も対象となります。なお、離職者については、離職の翌日から1年以内(最大20年まで延長できる)に教育訓練を開始する場合に限ります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

年齢制限、回数制限、給付制限

一般教育訓練給付金の年齢制限、回数制限はありません(給付金額の上限はあります)。

ただし、教育訓練給付金を受給したことがある場合は、今回の受講開始日が、前回の教育訓練給付金の支給決定日から3年以上経過していることが必要です。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

雇用保険に1年または3年以上加入している

教育訓練の受講開始日までの間に雇用保険に加入していた期間(支給要件期間)が3年以上であることが条件となっています。ただし、初めて教育訓練給付金を受給する場合、支給要件期間は3年ではなく、1年でよいです。

  • 初めて受給する:支給要件期間1年以上
  • 過去に受給したことがある:支給要件期間3年以上

この支給要件期間は、同一の事業主である必要はなく、転職しても通算されます。ただし、1年以上雇用保険に加入していない未加入期間があると、それ以前の期間は通算されません。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

3.対象となる教育訓練【何を】

一般教育訓練

一般教育訓練給付金の対象となる講座は、民間事業者の行う講座のうち、あらかじめ厚生労働大臣が「一般教育訓練」として指定した講座です。

注:指定を受けた講座は必ず「一般教育訓練」と表示されていますので、そうではない講座を受けても給付の対象外です。

一般教育訓練とは、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定したものをいいます。一般教育訓練は、原則として1か月以上1年以内の短期の講座を想定したものです。

  • 資格取得:英語検定、簿記検定、ITパスポートなど
  • 大学院など:修士、博士の学位などの取得

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

一般教育訓練の探し方

一般教育訓練指定講座についてはハローワークで閲覧できるほか、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で探すこともできます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

4.給付される条件

一般教育訓練給付金は、対象者一般教育訓練を「修了」することで給付されます。

一般教育訓練が始まる前に教育訓練施設に対して受講申し込みをしますが、このとき、教育訓練施設に対して入学料、受講料をいったん全額支払います。

一般教育訓練給付金を申請するには、各講座で定められた修了認定基準(出席率、確認テスト、レポート、修了試験など)をクリアし、教育訓練施設に「修了」を認定してもらわなければなりません。一般教育訓練給付金の支給申請には、教育訓練施設が発行する「教育訓練修了証明書」の提出が必要となります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

5.給付金額【いくら】

一般教育訓練給付金の計算方法

一般教育訓練給付金の支給額は、教育訓練経費の20%となります。ただし、支給額の上限は10万円とし、4,000円を超えない場合は支給されません。

一般教育訓練給付金の支給額=教育訓練経費×20%

教育訓練経費

一般教育訓練給付金の計算の基礎となる「教育訓練経費」は、本人が教育訓練施設に対して支払ったすべての経費ではありません。教育訓練経費の対象とならない経費を含めて給付金の支給申請をしてはいけません。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

注:教育訓練経費の対象外の経費を含めて支給申請をすると不正受給となります。

6.手続きの場所【どこで】

一般教育訓練給付金は、雇用保険給付として国(ハローワーク)の予算で実施しています。つまり、国が徴収した雇用保険料を使って、ハローワークが給付しています。

修了証明書などの申請に必要な書類は教育訓練施設が発行しますが、給付金の申請はハローワークでしなければなりません。郵送または電子申請の場合もハローワーク宛てです。

注:教育訓練施設が授業料を返金してくれるわけではありません。

ハローワークは、原則として申請者本人の住居署を管轄するハローワークです。

7.申請方法【どのように】

給付までの流れ

講座を申し込んだだけでは支給されません。一般教育訓練給付金を申請するには修了証明書の提出が必要となります。

一般教育訓練給付金の手続き
  • Step
    支給要件照会

    ・ハローワークで支給要件を満たしていることを確認する。
    ・支給要件回答書をもらう

  • Step
    一般教育訓練の受講と修了

    ・一般教育訓練の申込をする(いったん全額支払う)。
    ・一般教育訓練の受講
    ・修了(修了条件をクリアすること)

  • Step
    申請手続き

    ・講習修了日の翌日から1か月以内に、ハローワークで支給申請を行う。
    ・支給決定後7日以内に口座振り込み(20%給付)

事前:教育訓練開始前の手続き

支給要件照会

一般教育訓練給付金の受給資格があるかどうかをハローワークで調べてもらうこと(支給要件照会)ができますので、あらかじめ確認しておいたほうが良いです。

注:雇用保険の加入実績はハローワークにしかない個人情報です。教育訓練施設に問い合わせても回答できません。

さらに、受講を希望する教育訓練講座が本当に厚生労働大臣の指定を受けているかどうかについても、ハローワークに照会することができます。あらかじめ確認しておいた方が良いでしょう。

支給要件回答書の取得

教育訓練施設は、ハローワークの持っている個人情報を知ることはできません(本人以外の人がハローワークに問い合わせても教えてくれません)ので、受講申込者が本当に受給資格を満たしているかどうかを知りません。

そのため、受講申し込みの際に教育訓練給付金支給要件回答書(支給要件照会に対する回答書)の提出を求められることがあります(受給資格の確認のため)。この場合は、ハローワークに行って支給要件照会を行い、「教育訓練給付金支給要件照会票」に、受講する講座の「指定番号」を記入して、教育訓練給付金支給要件回答書を取得します。

一般教育訓練の申し込みと受講

一般教育訓練の申込をするときには受講費用(入学金、教材費、授業料など)を全額支払います。

注:申し込みの際には必ず、教育訓練施設に、「一般教育訓練給付金の制度を利用し、修了後に一般教育訓練給付金の支給申請を行う」ことを伝えてください。

事後:一般教育訓練給付金の支給申請

一般教育訓練給付金の申請は、原則として受講修了日の翌日から起算して1か月以内に、住居所を管轄するハローワークに行って「教育訓練給付金支給申請書」を提出します。このとき教育訓練施設が発行する「教育訓練修了証明書」を添付します。

やむを得ない理由によりハローワークへの出頭が困難な場合は、代理人または郵送により手続きを行うことができます。

8.給付金の支給【いつもらえるのか】

ハローワークで支給が決定されたら、決定から7日以内に支給されます。一般教育訓練給付金は、支給決定を受けた本人の普通預(貯)金口座への口座振込みによって支給します。

補足:詳しいルールとよくある質問

補足1:雇用保険の教育訓練給付制度

一般教育訓練給付金は雇用保険の教育訓練給付の一つであり、1998年(平成10年)12月1日に創設された制度です。資格取得やキャリアアップを目的とした通信講座やスクールなどが対象で、働きながら学び直しやスキルアップを支援する仕組みです。正式名称は「一般教育訓練に係る教育訓練給付金」です(雇用保険法施行規則第101条の2の11)。

教育訓練給付制度について、詳しくはこちらをご覧ください。

他の給付金との違いについて、詳しくはこちらをご覧ください。

雇用保険について、詳しくはこちらをご覧ください。

雇用保険の教育訓練給付以外の給付金について、詳しくはこちらをご覧ください。

補足2:非課税

一般教育訓練給付金は課税されません。つまり、一般教育訓練給付金の支給を受けたとしても、所得税、相続税、住民税等の税金は非課税となりますから、確定申告をする必要はありません。また、扶養に入る際の配偶者控除や扶養控除の所得金額に含める必要もありません。

社会保険(健康保険)においても、一般教育訓練給付金は一時的な収入(一時金)に該当するため、被扶養者の「年間収入」には含まれません。

補足3:不正受給処分

偽りその他不正の行為により一般教育訓練給付金の支給を受けた場合、不正受給処分(返還命令、納付命令等)を受けます。不正受給処分について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

補足4:未支給の一般教育訓練給付金

一般教育訓練給付金の支給を受けることができる者が支給されることなく死亡した場合、その遺族が一般教育訓練給付金の支給を請求することができます。

未支給の一般教育訓練給付金の請求について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

補足5:社労士過去問

教育訓練給付金の概要、支給日、支給方法に関する社労士試験の過去問について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。